
みんな大好きイチゴ。かわいらしいその姿は、まさに家庭菜園界のアイドルです。今回は、基本の栽培法から上級者向けの促成(そくせい)栽培まで紹介します。来年こそは、真っ赤に実ったイチゴで春を迎えてみませんか。
教えて! イチゴ栽培のギモン
家庭菜園で収穫したイチゴをほおばったら、「売っているイチゴほどおいしくない……」なんて経験、ありませんか? おいしいイチゴを作るには、イチゴの育ち方を理解して、「栽培の基本」を守って適期に作業することが第一です。ここでは、イチゴ栽培のギモンを紹介します。

(撮影:岡部留美)
Q.一季なり、四季なりってなあに?
A.一季なりは年1回、四季なりは年2回収穫できる
自然の環境で、年1回実をつけるのが一季なりです。春に花を咲かせ、初夏に収穫できます。四季なりは、春と秋の年2回、花を咲かせて収穫できます。一般的に、一季なりのほうが実は大きくておいしいといわれますが、最近は四季なりのおいしい品種も増えています。栽培の基本は同じですから、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
Q.花は立派なのに実が大きくならない
A.霜や雪の被害の可能性も
開花直後に霜や雪にあったのではないでしょうか。イチゴの花は、霜が降りる3℃以下の低温に5時間以上当たると、傷んで中心が黑くなり、充実した充実した実になりません。
Q.プランターのイチゴがおいしくない
A.茎を傷めた可能性も
プランターの外に実がぶら下がっていると、実の茎(果梗/かこう)が折れ曲がることがあります。果梗を通して養水分が実に送られるため、目に見えない程度の折れ曲がりでも味に影響します。ひもを張って茎を支えるなど、工夫してみてください。

果梗を大事にする。実が赤黑くつやがなければ、果梗が傷ついている可能性がある。(撮影:渡辺七奈)
目指せクリスマス収獲! イチゴの促成栽培
イチゴを保温して生育を早める「促成(そくせい)栽培」でクリスマス収穫に挑戦してみましょう。上級者向けの栽培法ですが、やりがいは抜群。花のついた苗を入手できるかが勝負の分かれ目です。恵泉女学園大学副学⻑の藤田 智(ふじた・さとし)さんが教えてくれました。

(写真提供:PIXTA)
促成栽培って何?
秋に植えるイチゴの露地栽培では、本来の収穫は初夏(5〜6月)。クリスマス用に流通するイチゴは、ハウスで加温をして栽培しています。このように加温や保温をして、自然環境より早く収穫する栽培方法を「促成栽培」と呼びます。家庭菜園でイチゴの促成栽培にチャレンジする場合は、黒マルチや保温シートなどをフル活用して、生育に必要な温度を保ちます。品種を選べる場合は、促成栽培向けの品種(「章姫(あきひめ)」「とちおとめ」「さちのか」など)で挑戦すると成功率が上がります。
高難易度の「促成栽培」に挑戦!
【ポイント1】蕾(つぼみ)か花のついた苗を選ぶ
秋に流通する苗にも、まれに蕾や花つきのものがあります。その蕾や花は、通常の露地栽培では冬に枯れますが、保温をすれば実がつきます。今回は蕾や花のついた苗が入手できた前提で、クリスマスの収穫を目指します。
【ポイント2】ダブル保温をする
イチゴは5℃を下回ると、生育が著しく低下して、蕾や花の成長も止まります。地温を上げるるために黑マルチを張って苗を植えつけ、穴なしで透明の保温シートをトンネルがけするダブル保温でトンネル内を6℃以上に保ちます。
【ポイント3】熔リンをプラスする
チッ素分の多い肥料を施すと、葉や茎の成⻑が優先されて、花や実の成⻑が止まります。元肥は三要素等量(N-P-K=8-8-8)の化成肥料に、開花や結実を促進するリン酸肥料の熔リンをプラスします。
◆メイン写真:©shutterstock
テキスト立ち読み
『やさいの時間』10・11月号では、イチゴ栽培を大特集。基本の栽培法からプロの技、食べ方、上級者向けの促成栽培までイチゴのことを幅広く紹介しています。詳しくは、こちら!<趣味の園芸を見る>