季刊ムック「音声DL BOOK 杉田敏の 現代ビジネス英語」から紹介するやりとりを通じて、アメリカのビジネスシーンで常識となっている「多様性」について考えてみましょう。 ©Shutterstock 変化する「多様性」 ――本誌コラムより  diversityという語は、1990年代にアメリカのビジネス界で「企業の人材活用や労働市場における人材の多様性」といった意味で使われるようになりました。しかし、近年はその意味合いが大きく広がってきています。

 当初は人種や民族性、ジェンダーの違いに重きが置かれていたのですが、現在ではそれらに加えて宗教、婚姻状況、年齢、出身地、障害、社会・経済的地位、教育、言語や外見など、さまざまな要素も含まれるようになってきました。

 そうした違いをただ認識するだけではなく、受け入れ、違いを活かして個人の力が十分に発揮できるようにすることがinclusionであり、diversity and inclusion(D&I)とも呼ばれます。

 さらに最近では、それにequityを加えてDE&Iなどとする企業も増えています。equityとは公平性のことで、特に採用や給与における平等、差別のない処遇のことです。

 これら個々の概念はオーバーラップする部分もあり、また意味や用法は時代とともに少しずつ変化しています。

 企業の人材活用の面において多様化が進むのと同時に、企業が対応するマーケットにおいても同様の多様化が進行してきました。diversity marketingとは、こうした多様化したマーケットにきめ細かい情報発信を行うことでもあります。

 たとえば人種や民族性に関しても、かつてはAfrican Americanあるいはblackやperson of colorと呼ばれていた人たちについては、一部でBIPOCと総称したり、BlackやIndigenousと大文字表記をするようにもなってきています。

 スペイン語を話す国や文化圏の出身でアメリカに住む人はHispanicですが、ポルトガル語を話すブラジル出身の人も含んだ中南米出身者はLatino, Latinaです。しかしジェンダーの区別のないLatinxを好む人もいます。

 同様に、LGBT(lesbian, gay, bisexual and transgender)という性的少数派の人たちの呼び名も、LGBTQIA+とする場合があります。Qはquestioningあるいはqueer、Iはintersexで、Aはasexualあるいはallyのことです。+はそのほかすべてを表すはずなのですが、別の表記に固執する人もいます。
[2021年春号 P34掲載のコラムより]
英語のミニドラマを読んでみよう 今回のビニェット(ミニドラマ)は、消費財メーカーAlex & Alexの新しいダイバーシティ・マーケティング・チームに、主人公の井出恭平が迎えられるところから始まります。ダイバーシティ・マーケティングがAlex & Alexの企業戦略の立案において中核を成している、といった説明を人事担当のリディア・グレースから聞いたあと、チームの責任者であるジェーン・ローゼンバーグを紹介されます。 今回の注目表現 diversity, equity and inclusion (DE&I)
多様性、公平性、包括性

diversity and inclusion(D&I)ともするが、equityを加えることもある。diversityは人々のいろいろな違いを網羅する総括的な語であり、民族やジェンダーだけでなく、(祖先の)出身国(national origin)、宗教、障害、性的指 向(sexualorientation)、社会・経済的地位、教育、婚姻 状況(maritalstatus)、言語、外見(physical appearance)なども含む。equityは公平性、公平な扱いのことで、たとえば性別や人種の違いによる賃金 格差の是正なども指す。そしてinclusionは、そうした多様性を持った人たちを認め受け入れること。
今回のWords& Phrases front and center 核心の、中心の、最前線の
(例文)
In today’s world, the issue of global climate change is front and center.
今日の世界において、地球規模の気候変動は核心的な問題です。

marital status 婚姻状況
(例文)
In job interviews, questions about your age, gender, marital status, religion or political beliefs are out of bounds.
就職の面接においては、年齢やジェンダー、婚姻状況、宗教、政治的信条についての質問は許されません。

what we call いわゆる…
(例文)
Today is what we call “Thinking Thursday.” Meetings are absolutely verboten on Thursdays, except for some technical staff.
きょうはいわゆる「思考する木曜日」です。一部の技術職の従業員を除いて、木曜日の会議は一切禁止されています。
ムックではこのように学べます!( 日本語訳もこちら) 杉田敏(すぎた・さとし)
「シンシナティ・ポスト」経済記者から、1973年にPR会社バーソン・マーステラのニューヨーク本社に入社。日本ゼネラル・エレクトリック取締役副社長(人事・広報担当)、バーソン・マーステラ(ジャパン)社長、プラップジャパン代表取締役社長などを歴任した。現在は昭和女子大学客員教授。
NHKラジオ講座「実践ビジネス英語」などの講師を、2021年3月まで通算32年半務めた。
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