講座では毎回、「目からウロコ」な英語の解説をしてくださる大西先生。今回のコラムで教えていただいたことをしっかりと実行すれば、1年後には英語力もぐんと伸びているはずです。
私が考える、英語を話せるようになるうえで大切な5つのことをご紹介しましょう。ご自身の弱点や苦手なポイントを考えながら、自分に何が必要なのかを知るヒントにしてみてください。
そこで私たちに必要になるのが、単語が持つイメージ――単語がどんなニュアンスや感触を持ち、どんな表現の幅を持っているのかを理解できる中心的な意味――を獲得することです。イメージをつかめば、make、take、get、putのような多義語が、なぜさまざまな意味を持つのかを理解できます(イメージがわからなければ、ひとつひとつの意味を暗記しなければならず、無用な労力が必要になります)。また、look、watch、seeといった、日本語訳を当てるだけではどれも同じ「見る」になってしまう単語を正しく使い分けることができるようになる。つまり、ある場面で必要な単語を適切に選べるようになるわけです。
語順に習熟したあとに積み上げるべきなのは、この表現のイメージです。
外国の方が日本語を話していたとしましょう。「てにをは」がちょっとおかしかったとします。私たちはすぐに気づくはずです。なぜ気づくのか? 言葉は私たちの身の回りにあるものの中でも、とりわけ知識があり、毎日使う手になじんだものだからです。だから、ちょっとした言い回しの違いであったとしても、不自然に響いてしまう。
これは英語ネイティブにとっても同じです。文法的に正しい英文だったとしても、彼らの慣れ親しんだ言い回しでなければ、「不自然だ」となってしまう。そこで必要になってくるのが、ネイティブスピーカーが慣れ親しんだ自然な表現を手に入れることです。
そして、量。英語を話すためには、膨大な量をこなさなければなりません。本を1冊買ってきて、それをまるごと覚えれば話せるようになるなんてことはありません。ひとつの言葉を話そうと思ったら、毎日多量の表現を仕入れなければならない。
英語を使いこなせるようになるのは決して楽ではありません。学習は一生続きますし、続けることが大切です。自分がよいと思った学習法があれば、それを毎日続けてください。1日15分だっていい。続けていけば、必ず上達します。成長の速度は目に見えるような速いものではないかもしれない。でも目に見えなくても成長しています。「成長が目に見えない」ことにめげずに続けてください。そうすれば、ご自身の望む「話せる自分」の姿が見えてくるはずです。
私も学び続けているし、挫折だってしています。一緒に頑張りましょう。
筑波大学大学院文芸言語研究科博士課程修了。英語学専攻。オックスフォード大学言語学研究所客員研究員を経て、現在、東洋学園大学教授。NHK テレビ「3か月トピック英会話~ハートで感じる英文法」などの講師を務め、現在は「大西泰斗の英会話☆定番レシピ」の講師も務める。著書に『NHK ラジオ英会話 英単語 基本イメージ集中講義』『ハートで感じる英文法 決定版』(すべてNHK 出版)など多数。