自分が必要としている英語表現は、自分のすぐそばにある!  横山カズ『スピーキング力を手に入れるための 英語独習法』 好評発売中!!  今回ご紹介するのは、同時通訳者や大手企業、学校の英語講師として活躍する横山カズさんの単行本『スピーキング力を手に入れるための 英語独習法』です。横山さんはNHKテキスト「英会話タイムトライアル」で2年以上にわたり連載を執筆中。3年目となる今年度は「意外に言えない表現で体得する 英語瞬発力のスイッチ」というタイトルで、ネイティブの英語感覚に近づくコツと魅力的な表現を紹介しています。 ©Shutterstock  そんな横山さんが英語学習において常に重視してきたのが、自分の興味と感動。「好き嫌いにこだわって学習素材を選ぶこと」こそ、スピーキング力を飛躍的に向上させるカギだと話します。そして、そうした学習素材の1つに横山さんが取り上げるのが「好きな映画」です。人から与えられた学習素材をこなすのは時として苦痛なものですが、自分の好きなものであればそんなことは決して起こりません! しかも、映画のセリフは躍動感あふれる、まさに生きた英語そのもの。スピーキングに直結する宝のような表現がたくさんあるのです。

 では、映画を英語学習に生かすにはどうすればよいのでしょうか? 本書の第3章「生きた英語は『今すぐその場で』手に入る!」から、その具体的なメソッドをご紹介します!
目、耳、心で映画のセリフをインストール 映画にある勢いある「話しぶり」  話し言葉を取り込むために、インタビュー記事に加えてもう1つ有効な手段となるのが「映画」です。「自在に話せない」、「ニュース以外のナチュラルな英語が聞き取れない」、このような課題に対する答えを、映画から得ることができます。自分のお気に入りの映画を1つ選んでください。「自分が好きなテーマ」、「自分が好きな英語のスタイル」などなんでもかまいません。「俳優が好き」でも、「内容が好き」でも、とにかく自分の心が欲するモノであれば大丈夫です!

 そのスクリプトを文字数に換算すると、90分の映画でも普通の本のわずか数分の一しかなく、あっという間に読めてしまう量です。ここで大切なのは、「分量は少なくても、私たちに足りないすべてが詰まっている」という事実です。かつて私は2000年代の初頭に、同時通訳の仕事でアメリカのメリーランド州の環境省に赴くことがありました。2週間弱の滞在で、内容は主に現地の環境問題の現状と調査、そして日本の現状などで、連日会議通訳が続きましたが、同時通訳者として初めての海外デビューとなった私を助けてくれたのが、2000年製作の映画「エリン・ブロコビッチ(原題:Erin Brockovich)」でした。これはアメリカ西海岸を拠点とする大手企業から、史上最高額の和解金を勝ち取ったエリン・ブロコビッチの半生を描いたものです。

 実話ベースの生々しい環境問題と健康被害、感情の起伏に伴う素早く、激しいイントネーションに富んだ英語表現、法律用語、アメリカ人の権利意識、社会階層の違う人たちのさまざまな意見と話し言葉、弁護士の「本音と建て前」を鮮やかに切り替える話し方が、たったの90分という時間に詰め込まれていました。
実践! 映画から「生きた英語」を取り込む  ここで、「エリン・ブロコビッチ」を例に、生きた英語を取り込む作業を再現してみましょう。実際のセリフから、セリフに含まれるスピード感、スピーキングにおけるパターンを見つけ出していきます。 1.熱意、正義感、まくし立てるスピード感を感じ取る!  難しい言葉はありませんが、シンプルな言葉ですごい速さと勢いでまくし立てていることが分かります。環境問題の被害者の人たちに対して一生懸命力になろうとしている主人公の気持ちが伝わってくることを感じ取りましょう。これはふだんの英語学習ではなかなか出会えない経験と言えるのではないでしょうか? 2.情報量の多い会話体に挑戦!  この短い文の中に含まれる情報は非常に多いことが分かります。「六価クロム」という専門用語は、ふだんの英語学習とはかけ離れた専門領域に英語で踏み込むドキドキ感を与えてくれます。「.05」「.58」という数値は、「聞き逃してはならない」という緊張感を英語で味わえます。

  “THE RATE you mentioned(君が言った比率)”、“THAT FAMILY you asked about(君が知りたがっていた家族)”。これらの表現は、日本語とは正反対の英語の語順(名詞が修飾部分より先に来る)というスピーキングの根幹となるパターンに慣れるための音読練習ができる貴重な表現ですね。そして、“responsible” と聞けば反射的に「責任がある」と応じてしまうかもしれませんが、実際には(特に理系の内容では)「~の原因である」という訳語が適切な場合が多いということを知ることができます。
真理はたった90 分の中にある!  最初は内容をしっかり把握するため、精読。その後は、映画を見てはスクリプトに目を通し、最後は斜め読みができるようになり、「聞くことと読むこと」が同じように感じられるようになります。「音声練習+話し言葉のインプット=リスニング力&自在な発話力」が、ここで実現するのです。

 たった1つでよいので、気に入った映画を目と耳、そして心でとらえ、心身に練り込みましょう。1か月もあれば英語とあなたの関係はより濃密で、充実し、自信に満ちたものとなることでしょう。独学者に足りないものは、たった90分の映画にすべて含まれているのです!
 いかがでしたか? 本書には、好きなジャンルのYouTube、TwitterなどのSNSでネイティブの英語表現をインプットしたり、興味のある人のインタビュー記事、お気に入りの映画を学習素材にして話し言葉の感覚をつかんだりなど、スピーキング力に直結するユニークなメソッドが満載。「留学しなくても、大人になってからでも英語は話せるようになる」。ひとりで英語を学ぶみなさんを励ますメッセージがたくさん詰まった、スピーキング特化型の独学本です。ぜひ、お手に取ってみてください。
『スピーキング力を手に入れるための 英語独習法』構成 横山カズ(よこやま・かず) 

同時通訳者(JAL/日本航空ほか)。翻訳家。関西外国語大学外国語学部スペイン語学科卒。20代半ばから日本国内で英語を独学。武道、格闘技経験を活かし、外国人向けのナイトクラブのバウンサー(用心棒)の職を経たのちに通訳キャリアをスタートし、多数の大手企業で通訳を担当する。以来、同時通訳者として、米国メリーランド州環境庁、IATA(国際航空運送協会)、AAPA(アジア太平洋航空協会)、元アメリカ陸軍工兵隊最高幹部ジェームズ・F・ジョンソン博士および元アメリカ開墾局研究者デビッド・L・ウェグナー氏の通訳担当、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)関連シンポジウム等における通訳を歴任し現在に至る。英語講師として、楽天本社、日経ビジネススクール、学びエイドほか多数。三重・海星中/高等学校・英語科特別顧問。武蔵野学院大学・元実務家教員。パワー音読(POD)🄬開発者。NHKテキスト「英会話タイムトライアル」連載、英字新聞The Japan Times Alpha紙連載など、執筆多数。英検1級。ICEE総合優勝2回。英語発音テストEPT100(満点:指導者レベル)。
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