ドラマ、映画、ナレーション、舞台、歌、執筆など、あらゆる表現で活躍中の上白石萌音さん。忙しい中でも大切にしている「学びの秘訣」を伺ってきました。
※2021年3月12日に公開した特設コンテンツ「学びの秘訣」記事を、特別再掲載しています。内容・情報は全て初回公開当時のものです。
上白石萌音(かみしらいし・もね)|鹿児島県出身、1998年生まれ。俳優のほか歌手、ナレーター、声優など幅広く活躍。2021年度後期連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ」ではヒロイン・安子役を務めた。 聞き手……NHK出版 こんにちは! 多彩な趣味や特技をお持ちの印象の上白石さんですが、いまも続けている学びって何ですか? 私、実は趣味も勉強も、“続ける”ことが苦手なんです。 それは意外です! 今も続けているものがあまりなくて……でも、唯一挙げられるとしたら言葉の勉強はずっと続けています。 語学学習ですか? 言語を含む幅広い意味での「言葉」でしょうか。父親の仕事の都合で小学校の途中からメキシコに住んでいたのですが、そのとき外国語の表現の豊かさ自分の日本語の乏しさに気づいて、のめり込みました。 現地では率先して外国語を話していたんですか? 日本人学校に通っていて、それほど外国語が必要だったわけではなかったんです。ですが、同じ敷地内に現地の子どもたちが通う学校もあったので、昼休みに校庭でメキシコの子どもたちとサッカーをしたり、交流授業で接したりといった機会がしばしばありました。その中で「しゃべりたいな」って気持ちが芽生えて。 「しゃべりたい」が学びの動機として働いたんですね。 「覚えなきゃ」よりも「話したい」という気持ちが強かったですね。脳が柔軟な年頃だったことも手伝って、ぐんぐん吸収できたんだと思います。 もしかして、ご両親よりも早く話せるようになったり? 家族の中でいちばん聴き取りは得意でした。あるとき、ドライブスルーで早口のスペイン語を聴き取れた私が話の内容を家族に説明したら、びっくりされました(笑)。 すごい! ちなみに、独自の語学勉強法などありますか? 実は、机に向かっての勉強は得意ではなくて、洋楽の歌詞を見ながらなんて言ってるのか調べたり、映画のセリフと字幕を比べて訳し方を知ったりなど、興味のある題材を耳と文字で一緒に覚えるのが好きですね。 趣味や興味を起点にリスニングを実践しているんですね。 言われてみれば! たとえばビートルズは構文のお手本みたいな曲がいくつもあって文法の勉強になりました。「あ、ここSVOだ!」みたいな(笑)。 それが結果として学びにつながっているなら、楽しく続けられそうですね。 前のめりになれないことはやっぱり頭に入ってこないので、受験勉強で泣きながら必死に暗記した世界史も、今は全然覚えていない始末です(笑)。一方で、余裕があるときに「ふむふむ」って考えながら覚えた知識は鮮明に残っています。いかに面白がれるかが重要なのかも。そういう意味では、教材はどこにでも転がっているのかもしれないです。 そういった姿勢は、現在のお仕事でも生かされていますか? 理詰めなところがあって、役に入る前に知識が欲しいと思い、役にまつわる本や、似たような世界観を持った本を何か一冊は読みますね。 台本だけでなく、関連する本まで読むんですね。 何も知らずに台本を読むのと知識や背景を知って台本を読むのとでは、役への馴染み方と実感がまったく変わりますね。役に対して心から納得してセリフを言いたくて。 役作りの一環として、舞台地や役のゆかりの場所を訪ねると伺いました。 行きます! 行ったからといって明快な何かがわかるわけではないのですが、現地の水を飲んだり空気吸ったり「その地を踏んだ」事実を得ることで、少しでも役と自分が同じ道を辿っているという実感がほしいんです。お守り代わりとして。 それって、学んだことを実践することにも通ずるのかもしれません。 しっかり「思い出せる」ということが、どちらも大事な気がしますね。 エッセイ集刊行(※)に向けて執筆中とのことですが、読書の経験も執筆に生かされていますか?(※今回のインタビューはエッセイ集『いろいろ』執筆中に行われました) 本を読んで言葉を蓄えてきた自負のようなものはあります。もともと、「この言い回しすてき」と思ったら次の日から使ってみる習慣がありましたが、最近は「こういう文章の結び方は使えるかも」など、初めて「書くこと」を意識した読み方もするようになりました。ひとつ読み方が増えた気がしています。 「読者」から「著者」に目線が変わったんですね。 お芝居も同じで、映画などを観ていると純粋に観れない自分がいて、つい「演技が上手だなぁ!」「ここ大変だったろうなあ」など思ってしまったり(笑)。 ところで、「学びにまつわるアイテム」としてふたつの辞書を持参していただきました。辞書がお好きというのは本当ですか? コレクションしたいくらいです(笑)。 子どもの頃からそれは変わらず? 持ってはいたのですが、でも当時は学校で必要なときに読んだ程度です。ただ、おそらく父が買ってくれたであろう10巻セットの百科事典も家にあって、ページをめくったら知らないことが次々と書かれているのが面白かったのを覚えています。 『広辞苑』はいまでも読むのですか? 読みます! 特に調べる用事がなくても辞書を無作為に開いて、そのページに書かれている言葉を眺めては「はぁ~こんな言葉もあるんだ」って楽しんでいます(笑)。私にとって辞書は大海原なので、「飛び込んだ先に何かある」「いまこのページを読んでなかったら一生知らなかった言葉がある」といった意識がありますね。 『NHK 日本語発音アクセント辞典』は、やはりお仕事柄ですか? 昔、所属事務所でデビュー当時から私を見守ってくださった方が「萌音ちゃんはきっとこれがすごく必要になるんじゃないかな」って渡してくださったんです。 今や上白石さんはナレーションのお仕事に引っ張りだこですね! 当時は、こんなにもナレーションのお仕事をするとは想像していなかったので、その方はきっとそれを見越して、鹿児島出身の私のために用意してくださったんだと思います。 鹿児島のイントネーションを感じることは少ないですが、今でも発見はありますか? 何も疑わず話していたアクセントが辞書と違っていることはよくあります。だいたいのナレーションの現場にこの辞書があるのでその場でも読みますし、現場に行く前の準備でも、読んでいて引っかかった言葉は全部調べるようにしています。 それもお守り代わりのような存在なんですね。 調べたうえで仕事に臨むのはすごく自信になりますね。「だって辞書引いたもん」って(笑)。 それは「現地を訪ねたもん!」と同じですね(笑)。最後に、上白石さんにとっての「学びの秘訣」を教えてください。 「ふむふむ」です。 その心は? 「ふむふむ」って思って取り組むと、なんでも楽しいと思うからです。 先ほどの「その地を踏む」とかけてるんですね? ……そうです!(笑) 一歩一歩着実にという意味もありますね。 やわらかい言葉の選び方が上白石さんらしいです。 これからは「ふむふむ論法」で! すてきです。今回はありがとうございました! これからも応援しています。 上白石萌音さんの 【学びの秘訣】 ◆初出:NHK出版 学びの秘訣(2021年3月12日) STAFF
Photo : Ayumi Yamamoto(Key Visual) NHK Publishing (Interview)
Text & Edit : NHK Publishing
Hair&Make:Tomoko Tominaga(Interview)
Stylist:Takashi Shimaoka/Azusa Kitamura(Interview)
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