1931年創立のNHK出版は、
朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」
でも話題となったNHK語学テキストを
発行し続けてきました。
創成期からメディアミックスを
提唱してきましたが、歴史を振り返ると、
学習スタイルの進化も見えてきました。
1931年 NHK出版より
語学テキスト発刊
NHK番組にまつわるテキストの歴史は、
なんと1925年まで遡ります。
当時はNHKがテキストを発行していましたが
需要の高まりを受け、NHK出版が
1931年に誕生し、役割をバトンタッチ。
ちなみにNHK出版からの
初の語学テキストは
ドイツ語講座とフランス語講座のふたつ!
この号には英文の日本語訳はほとんど載っておらず、唯一の翻訳文がこちら。独特な言葉遣いは、戦前ならでは? 旧字体からも当時の雰囲気を感じます。
ラジオによる英語講座を初めておこなったとされる岡倉由三郎先生。戦前の英語学習ブームを担った人物です。ちなみに、文豪・夏目漱石の友人だったそう。
英語は横書き、日本語は縦書きで表現しているユニークなレイアウトを発見しました。しかも中央に漢文表記があるのも、この時代特有ではないでしょうか。
こちらの目次を見ると、この講座では850語の常用英語を取り上げていた模様。学び方の秘訣や発音、例文問題など、現代にも通じる内容が目白押しです。
当時のテキスト講座一覧を発見。英語のほかにフランス語・ドイツ語・中国語講座も。また「婦人講座」の存在も、時代を考えると興味深いですね。
当時の読者による日本語訳の書き込みが残ったこちらのテキスト。ナポレオンについての英文でしたが、和訳がない分、書き込みにも熱量を感じます。
独創的なレイアウトを用いて「美しいもの」について説明しているページです。90年近く前の表現ですが、今見ても新鮮に感じるのは、さすがの一言。
「アメリカ人とは」という内容のこちらのページ。当時の人たちがアメリカ人をどう捉えていたかが読み取れます。現代にも通じるところはあるでしょうか?
NHKテキストと
ラジオはずっと深い関係
テキストの誕生にラジオは不可欠。
なぜならラジオだけでは聴き取れない、
文章でも見たいという聴取者のために
テキストが発行されたからです。
つまり90年以上前のラジオ創成期から、
メディアミックスが前提だったのです。
もちろん2021年になっても、
テキストとラジオは相思相愛です。
レコードの登場でラジオの
放送時間外でも勉強可能に
放送時間になったら
テキストを開いてラジオに耳をかたむける。
そんな学習スタイルが、
レコードプレーヤーの登場で一変しました。
NHKテキストからも講座レコードが発行され、
放送時間だけでなく、繰り返しの
学習することができるようになったのです。
その文化は形を変えながら現代まで続いてます。
テレビでも語学番組が開始
映像ならではの学習体験
「きょうの料理」など映像を生かした
テキスト番組は、1950年代から
開始していましたが、語学講座の映像進出は
1970年代以降に増加していきます。
ラジオでは表現しづらい
キャラクターによる語学の学習など、
映像ならではの強みを生かした学習方法は、
現在では完全に定着しています。
アメリカで大人気の
セサミ・ストリートが上陸
映像による語学学習の火付け役となった、アメリカでは幼児の学習番組にもなっている「セサミ・ストリート」。日本でもお馴染みですね。1971年には「教育番組賞」も受賞した人気作品。
携帯型プレーヤーの普及で
いつでも「どこでも」語学を勉強
レコードの登場によって、ラジオの放送時間に
限らず学習できるようになりましたが、
あくまでそれは家の中での話。
それがカセットテープと携帯プレーヤーの
普及で、いつでも「どこでも」の
学習スタイルに生まれ変わりました。
さらにCDの誕生で、音の劣化もなくなり
繰り返しの学習がより便利に!
カセットテープにCD
時代に合わせてアップデート
時代の移り変わりと共に、NHKテキストは音声教材もアップデート。レコード、ソノシート、カセットテープ、そしてCDと、ユーザーの需要に合わせて進化を続けています。
スマホとアプリの普及で
学びがさらに身近な時代へ
スマートフォンが一般化した2010年代、
語学テキストの学習方法も大きく変化。
まずはテキストの電子版が発行され、手のひらの
スマホに毎月のテキストが収まるように。
そしてスマートフォン用アプリの開発によって、
スマホひとつで講座番組の再生が可能に
なるだけでなく、自由な学習スタイルの
実現を目指していく時代に。
用途に合わせて使い分け
テキスト学習に役立つアプリ